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2007年 09月 18日 ( 1 )

「交渉人」
「交渉人 遠野麻衣子・最後の事件」
五十嵐貴久

実際の警察の現場でこういう人がどれだけいて活躍してるか
知らないけど「踊る大捜査線」シリーズで、ユースケ・サンタマリアさんが
やっていた真下さん的な仕事をしている人たちのお話なんだな、と
タイトルを見て興味を引かれたのは、新刊コーナーで見つけた、
「~遠野麻衣子・最後の事件」でした。しかし、読み始めると
「過去のあの事件」とか「あの件」みたいに、やたらと、女性警視で
ヒロインの遠野さんの回想が多いのです・・・こ、これってもしかしたら
続編系? 「最後の事件」って書いてあるってことは、最初の事件、とか
前の事件、みたいな作品があるのかしら、とネットで調べると、
ありました。「交渉人」っていうのが・・・というわけで、慌てて購入。
10ページほど読んだ「~最後の事件」はおいといて、先にそっちから
読むことに。

「交渉人」 
ある夜のこと…コンビニを襲撃した3人の男は、そのまま近くの
病院に押し入って、患者と医師、看護士を人質にとって
警察相手に、逃亡するための金や乗り物を要求する…
警視庁警備部警護課特殊捜査班の課長代理で
数々の事件を交渉で解決してきた石田が、かつて
交渉術を教えた部下・麻衣子からひきついで、犯人との
息づまる交渉にあたる。携帯電話越しのやりとりを
犯人と続け、人質の解放を求めながら、犯人逮捕のための
捜査員の配備や方針を固めていく石田の活躍ぶりは
いわゆる、犯人と格闘して体を張って、という古い刑事ドラマの
熱血刑事とは違うタイプなんだけど、静かに熱くて魅力的。
電話越しの犯人の声から、出身地、体型、成育歴などを
推測していくなど、交渉人としての薀蓄みたいなものも
興味深く読んだ。そして、事件の集結とどんでん返し…
「犯人」の動機が明らかになり、意外なラストを迎えるまで
一気に読める。最後まで読んでいるほうもずっとドキドキ
緊張感でいっぱいだった。

「交渉人 遠野麻衣子・最後の事件」
前作で、上司の石田の交渉人ぶりをずっとそばで
見つめていた麻衣子は、警視庁の広報の仕事を
していた。そんな彼女のもとに1本の電話が…
ボイスチェンジャーで「2000人の死者を出した
“宇宙真理の会地下鉄爆破テロ事件”の首謀者・
御厨を釈放しろ」と命じる犯人。その要求を
のまなければ、都内にしかけた各種爆弾を作動させ
無差別テロを起こすというのだ…そうさせないために
警察と交渉して、教祖脱出の手はずを整えるよう
交渉せよ、という犯人。見えない敵との戦いが
今、始まる…というわけで、前作では、狂言回しで
石田の愛弟子的だった麻衣子が交渉のメインに。
実際にあったテロ事件やあの宗教を想起させる犯人像
のせいで、ちょっと安易な設定?という印象を受ける。
あと、この小説は、小説ならではのちょっとズルい書き方を
されていて、これは犯人に気づくのちょっと大変っていうか
文字で書かれてるからこその引っかけがあった(映像化
するとしたら処理がちょっと難しいような)。まあ、
ハードカバーで読むほどでは正直ないけど、そこそこ
面白かったです。野沢尚のクオリティには及びませんが、
「魔笛」(野沢サスペンスの中でもかなりよく書かれている! 新作が
読めないなんて本当に残念なことだ)みたいな感じの
知的な犯人VS警察、のがチンコ勝負、時間制限つきの爆破予告、
などの緊迫感はなかなか。

で、ミステリーとしては十分楽しませてもらったのですが・・・
販売担当者や書店に対してちょっと。

こういう「新刊は新刊だけど、なんかの続編とかスピンオフ」みたいな
作品が発売されるときって、前作の在庫とかも一緒に近くに並べて
売ったほうがいいんじゃないだろうか。ていうか、普通そうなってるよね。
私が「~最後の事件」を買った三省堂本店は、おそらく日本の書店の中で
知名度も規模もすごいと思うんだけど、そこでさえやってない。
池袋のリブロでも、近くに「交渉人」はおいてなかった…うーん。
たとえば、この前発売になった宮部みゆきの最新作「楽園」の
平積みのそばには、文庫判の「模倣犯」がしっかり並んでたんだけど…
そして、この本の帯やあおりにも「あの「交渉人」から○年!」みたいな
ことが書いて無くて、続編チックな作品だって読む前に解らなかった。
そのせいで「交渉人」のどんでん返しが解っちゃってから読むハメになって
残念・・・
by tohko_h | 2007-09-18 12:01 | reading