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2009年 09月 22日 ( 1 )

「新参者」 東野圭吾

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「新参者」 東野圭吾
東野圭吾の新刊が出ると、大体
発売日に書店で買う。それが
高価なハードカバーであっても。
それは「ハズレではないだろう」と
いう信頼感があるから。
お値段以上のニトリ本(笑)かどうかは
場合によるけど、少なくとも、
お値段相応には楽しく読めるし、
親きょうだいや友だちにもファンが
多いので貸してみたりして、本に対して
こういうのも変だけど十分
モトが取れるとわかっているので。


しかし、何冊そうやって読んでも、一番いいのは「白夜行」だよなーと
ずっと思っていたのも事実。
いつも、買う前から「白夜行」の次に面白ければいいなーなんて思って
いたのです、東野作品。

が、しかし。

今回は、とりあえず新刊だ、とあらすじも確かめずに買い、気楽に読み始めて…
びっくり。期待してなかった分の驚きもあったのかもしれないけど。

私の中で「白夜行」と並ぶ、あるいはもしかしたら何度か繰り返して読むうちに
越えるかも、というくらい、よかったんです、「新参者」。
連休も残り2日となりましたが(あ、私は家で仕事してますけどね(笑)でも
会社に行かずにすっぴんで在宅できるだけで幸せよ)、そろそろ退屈してきたなー
なんてことになったら、思い切って書店でカッチマイナーという感じです。
本って好みがあるからあまり人に薦めたりしないんだけど、これは割と
老若男女、小学生の本好きな子でも読めるし、たぶん還暦過ぎたうちの親も
面白いって言う、そんなオールマイティーな本なのです。

と、絶賛ばかりしててもなんなので、ざっくり紹介いたしましょう。

練馬署から日本橋署に異動してきた加賀恭一郎刑事。剣道をやってるので
スタイルがよく、割と見る人が見ればカッコいいらしい30台半ばの男性です。
浅黒くて歯が白い、なんて描写からすると、少し古風なイケメンをイメージ
してみればいいんじゃないでしょうか。

あるマンションでひとり暮らしの四十代女性の絞殺死体が発見され、
着任してきたばかりの加賀刑事が捜査にあたることになります。
亡くなった女性は、離婚をしてひとりで暮らしていました。
女性と最後に会った疑いのある保険会社の男が出入りしている煎餅屋、
女性の死後、部屋にあった人形焼を買っていた料亭の見習いの青年など、
たまたま被害者と近い位置にいたような人たちに加賀刑事は丁寧に
聞き込みを行い、事件の真相に迫っていきます。普通、推理小説というと
次から次へと怪しい人が出てきて…という展開が多いけれども、これは
誰も怪しくないんですよね。普通の商店街の人たちが出てきて、悪いこと
してなくても「警察?」と身構えるなんて感じがリアルです。
「女性殺しの犯人探し」という太い縦糸に対して「加賀が聞き込みをした
街の人たちのささやかな秘密や悩み」という横糸がからんでいて、
すべてを加賀が解き明かす展開がとても読んでいて小気味よいのです。

映画やドラマで人気者になった「ガリレオ」シリーズに比べ、この
「加賀シリーズ」は、東野さんのデビュー2作目の「卒業」にしても、
最近でいうと、老人とバカ息子を抱えた家庭の闇を描いた「赤い指」に
しても、暗くてとっつきにくいイメージがありましたが、今回の、
「かが散歩@日本橋」みたいな作品は、とても健やかで明るい町の
人たちとのふれあいで、加賀刑事の持つ快活さや若々しさ、明るさ
などが生き生きと描かれていて、なんとも雰囲気の良い小説です。

東野作品には、父と息子の関係、というモチーフが割と見受けられる気がします。
「赤い指」の犯人一家にしても(※これ、ネタバレじゃないですよ。最初から
誰が犯人か分かった上での小説なので)、加賀と父親にしても、または
「トキオ」のダメ父と息子の関係にしてもそうだし、あるいは、「白夜行」の
刑事と主人公の青年の関係さえも、ある意味父と子のような精神的な愛憎に
まみれていたような気がするし。
(ああ、でもそれいったら「秘密」とか「さまよう牙」は父と娘の愛がメインだな)

東野さんのシリーズもののよいところは、前作なんて読んだことが
なくてもすらすら読めるところ(ガリレオを知らなくても「容疑者Xの献身」
だけでも十分読み応えがあったように)です。加賀刑事って誰?
という人も(私も2作しか実は読んでません)ぜひぜひ「新参者」として
この1冊、手にしてみてください。

お煎餅やケーキ、大判焼きなど、なぜか美味しいおやつの描写が多いので
お気に入りのお菓子とお茶を用意して読みはじめることを推奨いたします。
(良い意味で、おやつでも食べながら気軽に読める楽しい小説です♪)
by tohko_h | 2009-09-22 05:10 | reading