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2009年 11月 29日 ( 1 )

「家日和」 奥田英朗

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「家日和」奥田英朗
「ガール」や「マドンナ」を読んで
「奥田さんって会社員を描くのが
うまいんだなー」と楽しく読んで
いたんだけど、それ、訂正。
そこらへんにいそうな人、を
リアルに可愛く描ける稀有な
センスを持つ作家です。
この本は「在宅小説」と称して
家や家族をテーマにした短編を
6本収録しています。
どれもはずれナシ!


「サニーデイ」 
ネットオークションにハマり、生き生きしてくる専業主婦の話。可愛くて
ちゃっかりしてて、憎めないヒロイン像が最高。オークションで評価を
もらうと社会とつながった気分になるの、なんか分かる。

「ここが青山」 
リストラされた夫と再就職した妻。主夫生活の意外な楽しさにハマる夫の話。
息子の嫌いなブロッコリーを食べさせることに本気になる父の姿が可愛い。
男は家、女はうちなんて世間の相場に軽やかに「別にいいじゃん」って思える。

「家においでよ」
別居が決まり妻が出て行き、がらんと部屋を自分好みの男の城にして
楽しく暮らす話。家具やオーディオを買い物するシーンが読んでいて気持ちよい。
買い物を人がしまくってる描写だけで面白く書けるなんて、作家もお買い物好き?


「グレープフルーツ・モンスター」
内職主婦が、その内職斡旋業者からやってくる若い営業マンになれなれしくされ
いらいらしつつ性的ファンタジーの対象としてこっそり萌える話。エロいけど健やか。
主婦とセールスマンって設定は卑猥なのに、最後に残るのは笑いと爽やかさ。

「夫とカーテン」
すぐに仕事を変えたがる夫と、イラストレーターの妻。夫が新たにカーテン屋を
開業すると、妻のイラストに神が…駄目男がニガテな自分ですがこの夫は可愛い。
妻が、毎度あきれながら夫の事業に手を焼く気持ちが読んでて分かった!

「妻と玄米御飯」
小説があたってお金持ちになった主人公。経済的余裕ができた妻はヨガと玄米に
夢中なロハス人間に…オーガニックフードよりとんかつが食べたい! といらいら
して、ロハス族をおちょくるユーモア小説を書くことに・・・。

嫌な人が出てこなくて、大事件も起こらない中でこんなに面白い話が描けるなんて…
短編って最後はあとあじの悪いところに落として読後感を濃くするのは簡単だけど
爽やかに終わらせつつ印象深くしている、というところが奥田作品の良さだと思う。
性善説的で、いやらしい偽善人間が出てこないので気持ちよく読めるのも最高。
by tohko_h | 2009-11-29 23:59 | reading