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2009年 12月 13日 ( 1 )

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「遥かなる水の音」村山由佳
周(あまね)が死んだ。
「遺灰をサハラに撒いて欲しい」とだけ
遺言を残して、まだ27歳という若さで。
周と暮らしていたゲイの中年男性フランス人、
周の姉でパリでガイドをしている女性、そして、
高校時代に周と仲が良かった浩介と結衣。
周の大切な存在という以外共通項のない
ばらばらな人々が、共に旅をすることとなる…


村山さんのロードノベルといえば、結婚した直後に愛する男性を失った
ヒロインが、アメリカのネイティブインディアンの元まで旅をする
「翼」という作品があるけれど、その時は、ヒロインの視点だけで
描かれた、旅路は長いけど物語としては「狭い」という感じが少しした。
しかし、今回は、4人の旅を描いているし、なんだか、とてもスケールの
大きさを感じられ、旅が好きではない私も、なにか旅情というか、
凄く遠くの「はて」みたいなところに立ってみたい、と迂闊にも思って
しまうような魅力と力があった。

相変わらず恋愛部分は少し自分の好みより甘ったるいとか、
偶然にたよる展開がちょっと多いとか、粗さがしすれば見つかる部分は
あるのだけど、読み終えたときは、自分も長い旅を終えたような
充足感と、不快ではない疲労感にほどよく包まれた。

また、パリからサハラまでの道のり、素敵なホテル、モロッコ料理、
雑貨類(結衣と浩介は湘南で雑貨屋を営んでるので、旅先でも
ステキな雑貨や市場に興味を持つのだ)などの描写が生き生きと
沢山出てくるので、そのへんも面白い。タジン料理が食べたくなった!

年末年始本、旅に持って行く本候補としてお勧めです。
正直、あんまり期待しないで読んだこともあって、よい本読んだな!と
思いました。
by tohko_h | 2009-12-13 11:39 | reading