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2010年 03月 06日 ( 7 )

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「長い終わりが始まる」
山崎ナオコーラ
大学4年の小笠原(女子)は、
マンドリンサークルに所属。
練習を怠らず学年の中でも
巧い方なのだが、わが道を
行くタイプで協調性ゼロゆえ
パートリーダー的な
幹部には選ばれず、また、
部内の好きな男・田中とも
恋人になれず、さらに卒業後の
進路も決まっていない。


淡々と過ぎていく大学時代の最後の1年を描いた物語。
小笠原の、自分の欲しいものが何一つ手に入らないキリキリした日々は
かつての私自身を見るようで、読んでて痛かった。15年前に読んだら
絶対泣いてたと思う。
誰からも愛されたこともなく、必要とされたこともなく、ラーメン屋でひとり
涙をぬぐうことしかできない小笠原の姿は、20歳のころの私だ。
それがイヤで、好きじゃない男の子と騒いだり、気の合わない女の子たちに
囲まれて嫌なことを言われたりしてもご飯を食べに行く道を私は選んだけど、
そうせずに、浮いている人として誰とも溶け合うことなくい続ける小笠原の
「正しさ」、「強さ」を褒めてあげたいと思った。

タイトルの「長い終わりが始まる」というのは、ある曲の話を片思い相手の
田中としていて「この曲、そろそろ終わりかな、というフレーズになってから
なかなか終わらないで長い」(そういう曲ありますよね)という会話になったとき、
「そうだね、この曲のタイトルを「長い終わりが始まる」としたほうがいいかもって
くらい」みたいなやりとりをしていたところから。秀逸。
デビュー作「人のセックスを笑うな」にしてもそうだけど、コピーライター的な
言葉の切り取り方が巧い作家だと思う。だから時々、小説自体はぶっきらぼうで
不親切に感じるほど簡素な文体なのだが、それは、きっと、無駄を削った
結果なんだろうな、と納得できる。
by tohko_h | 2010-03-06 22:48 | reading

                 「路地恋花」①麻生みこと
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麻生さんのマンガを読むときは、カクゴがいる。
以前「天然素材で行こう。」という作品で、ハチクロ級のびっくり展開に
軽いショック状態になったことがあり、絵がふわっと可愛くて素直に読めるなー
なんて思ってたので、なんて手ごわい漫画だったんだ、とびっくりさせられたのだ。
それを思い出すと、「一見ふわっとかわいらしくて手ごわい」って点で、
京都を舞台にしたこの作品がこの作者から生まれたというのは、とても説得力がある
気がした。しかも私の心の漫画の先輩・サマンサさんのライフログのトップに
きていたので(とてもこまめに更新されてるのでチェックが欠かせない)、早速ゲット。
書店でも平積みになってたのですが、ちっとも気づかなかった自分のぼんやりぶりに
反省しつつ…

京都の路地にある長屋には、物を作る人たちばかりが住んでいる。
和とじ本を作る装丁家、アクセサリー作家、画家の卵、ろうそく作家…
それぞれの人たちの仕事への思い入れや恋愛模様が丁寧に可愛く
時には鋭く(表現とは何かレベルでシビアに)描かれていく。
時間の流れが他のマンガと違う気がして読んでいる間じゅう、ずっと心地よい。
王道の甘口ハッピーエンドから、ふっと風が吹くみたいに終わる余韻系まで
短編の醍醐味たっぷり味わえるオムニバスです。
正直、お勧め。はやく次の巻が読みたい(一話完結形式なのに続きが
気になる)。
by tohko_h | 2010-03-06 13:53 | reading

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「インディペンデンス・デイ」
原田マハ
生まれ育った土地から、
長年つとめた職場から、
しがみつき続けた都会から、
親との確執から…それぞれ、
ずっと自分で自分を縛り付けて
いた何かからの「独立」の
瞬間を迎えて輝くヒロイン達。
前の章に出てくる脇役の人が
次の章では主人公…という
数珠繋ぎ形式の連作短編集。
後味の良いお話ばかりなので、
疲れた日のお布団やお風呂のお供にぴったりの1冊。
テレビドラマなどにしやすそうな印象。深夜にちまちまと。
by tohko_h | 2010-03-06 13:20 | reading

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「コトリトマラズ」 栗田有起
独身のころから、不倫小説ってあんまり
好きじゃなかった。枷のある恋愛の
当事者でいることに陶酔してる風の
ナルシストな登場人物が多くて
「こういう恋愛をしてる自分が好きって
話じゃん、こんなの!」と思うことが
ほとんどだったので。


しかし、小さなデザイン会社で働く若いOLが、社長と不倫をしており、
社長の妻も専務、みたいな家族企業で…みたいな地味な設定で
描かれるこの小説の中の不倫は「本当に好きなんだな」と、恋愛としての
圧倒的な説得力が感じられ、それゆえに、素直に「切ないな」と思えた。
また、ヒロインの、恋愛以外の、親とか友人とのつきあい=恋愛もので
割と雑にされがちな人間関係も丁寧に描かれていたので、ひとりの
女性として、とても親しみを感じ、だから彼女の痛い恋愛で一緒に泣きそうに
なった。カッコつけたり派手な比ゆがあったりウルトラC級のどんでん返しが
あるわけじゃなく、ただただ丁寧に一途に人を愛した話。その行方が
気になってページをめくる手が止まることは1度もなかった。私の
指先も「トマラズ」だったのだ。小道具による感情表現とか、すごくきちんと
小説を書こうとして書いた作者の姿勢にも好感が持てる。

今までこの作者の描く作品って、少しファンタジックな不思議な世界で
ふわっとした感じのものが多くて、こういう背骨のぐっと通った恋愛小説を
書く人だとは知らなかった。たまたま読んだのですが、読めてよかった。と
素直に思えた1冊。
by tohko_h | 2010-03-06 13:16 | reading

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「真綿荘の住人たち」島本理生
前の記事につづいてもう1冊、
「他人同士が一つ屋根の下小説」
を紹介。舞台は、江古田の
食事や水周りは共同、という
古式ゆかしい下宿屋さん。
イメージはめぞん一刻(嫌いな
漫画だがほかにたとえが
出ない)。管理人さんが一番
わけ有りっぽい女性なところも。


章ごとに変わる主人公達。
地方から出てきた大学生の男の子の不器用な恋愛とか、同じく
容貌コンプレックスに悩む女の子の片思いのパートあたりは、
この作家らしい若々しい青春小説そのものって感じがして、
ああ、下宿物ってこんなよねー、もしかして高橋留美子じゃなくて
なかじ由紀の「小山荘」?(神戸を舞台にした高校生達が下宿屋・
小山荘を中心に繰り広げる恋愛まったり少女マンガ)、あるいは
羽海野チカの「ハチクロ」(これも下宿屋さんで美大生達が
恋に将来に悩む話…名作だったのに(泣))かしら、とよい意味で
ぬるま湯モラトリアムなお話なのかな、と気楽に読んでいた。

しかし、このごろ島本さんがいろいろな小説で(ナラタージュあたりから)
書いている「性的に傷つけられた女性の魂の問題」が絡んできて
物語の後半は、修一の「パレード」に負けず劣らず不穏な空気に包まれ
複雑なだまされた感に襲われる。物語の最後も、「皆が下宿で楽しく仲良く
いつまでも暮らしました、めでたしめでたし」でもなく、何かから明確に
卒業して誰かが出て行くお引越しシーンで終わるわけでもなく、
録画しておいたドラマが容量不足でぶちっと後ろ5分切れちゃって録画
できてませんでした、みたいに唐突な幕切れ。その置いてきぼり感に呆然。
軽くショックを受けました。後味の良くない下宿屋さんものって珍しいかも。

若いころよく飲み歩いていた江古田の町の描写が少なくて残念。
by tohko_h | 2010-03-06 12:49 | reading

「パレード」吉田修一

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「パレード」 吉田修一
映画絶賛公開中、本も売れに売れている
ようなので、遅ればせながら読んでみることに。
自分の中で当たり外れが激しい作家NO1
(次点は実は東野圭吾かも)の修一ですが・・・
これは、もう、そういう普通に面白いとか
つまらないとかで語れない1冊でした。
解説の川上弘美さんは「こわい」という
言葉でこの小説を語っていましたが、
もしかしたら「気持ち悪い」でもイケるかも。


都内の2LDKのマンションで暮らす4人の男女。
恋愛関係にあるものはいない。
お気楽大学生で恋愛やバイトに励む良介。
マラソンが好きでコーヒーやタバコを憎む健康ラブの直輝。
有名俳優とつきあっており恋愛依存気味の美人・琴美。
リアリストで、オカマと飲み歩く酒乱系おこげ体質の未来。
ご飯を食べに行ったりだらだら話をしたり、良介の恋人や直輝のもと彼女が
遊びに来たり、隣の部屋の人の出入りを気にしたり、ゆったりしたペースで
物語はすすむ。固有名詞(食べ物や映画やテレビ番組のタイトルなど)を
たくさんちりばめているのに、どこかリアリティがない空疎な雰囲気。
そんな4人暮らしに、18歳のサトルという少年がいきなり加わることに。
夜のお仕事をしているクセのある人物…そこからきしみだす生活。
不協和音…そして意外な結末。

皮膚の外側と内側の温度差ってあるよなー、というのがざっくりした感想。
それぞれがお互いに言いたい放題言い合ってるようで、皆に受け入れられやすい
言動を取り合っている。これがオモテ。で、裏というか、皮膚の内側では、
どろどろした感情とか困惑とか恐怖とか苛立ちとかが飽和しつつある…
そんな彼らが、皆いきなり爆発してぶっちゃけ合う展開になるのかな、と
思ってたんですが、意外な着地点にぞっとした。
ホラーじゃないけど、人間って怖い、そして自分にもこういう不気味な一面って
あるな、と、一見ありふれた若い人たちの生活小説風に見せてとんでもない話だった
この小説を読んで思った。

めちゃめちゃ余談ですが、キャスティング(映画の)を知らぬまま読んでたので
表紙だけ見て、美人設定の琴美が香里奈で、クセのある未来のほうが貫地谷しほり
だと思ってたら、実際は逆らしいとサイト見てちょっとびっくり。貫地谷さん
「ゴールデンスランバー」でも人気アイドル役だったし、美人設定が多い…
個人的には、今やってるドラマ「まっすぐな男」で、恋人を深田恭子に取られて
泣いちゃうまじめでソンしてる女の子役が一番チャーミングに見えたんだが。
by tohko_h | 2010-03-06 12:46 | reading

だらだらテレビをつけて夜更かししてたら、「おおきく振りかぶって」のアニメが
始まった。ひぐちアサの描く、ネガティブなエースが主人公であまり強くない学校を
舞台にした一風変わった、熱血とはまた違う高校野球漫画である。

で、今、見てるんだけど、試合シーンでかかるブラスバンドの演奏曲が、リアル!

「狙い撃ち」(山本リンダ)に「アルプス一万尺」に「サウスポー」…そう、
毎年、甲子園の中継で実際にアルプススタンドで演奏されているベタな
定番ソングばかりなのです。おしゃれなBGMとかじゃなくて、かけごえと
ラッパメインのブラス音…アニメでこんなとこまでちゃんとしてるって、
スタッフも高校野球好きなんだな、と思って、このアニメに好感を持って
しまいました。

と、ここまで書いたらハイライトシーンなのか、なんかドラマのBGMっぽく
なっちゃった…なんか残念。そろそろ寝ようかしら(笑)。
と思ったらまたブラスバンドで「トレイントレイン」。いいねー。

ああ、でも面白い…オリンピックで数週間騒いでおいてなんですが、
やはり野球はいいなあと思い直したりして。しかし高校生でシンカーを
投げられる敵のピッチャーってのが、今出てきてるんです、アニメの
中とはいえ…すごいな。最近、プロ野球の中継見てても
シンカーで決めてるシーンってあんまり見ないよね。
昔はヤクルトファンだったので、高津がシンカーで最後にシメる、
みたいな試合をたくさん見てた記憶があるんですが…。

ちなみに主題歌はいきものがかり。
暑苦しい歌い上げ系の女性シンガーが次々と現れる中で、一本調子
ぎりぎりにまじめに歌ってるボーカルの声質、割と好きかも。
女性版スキマスイッチって感じで。ある意味歌う棒読みって感じで言えば
昔大好きで聞き倒していた大江千里にも通じるかも。
ああ、ヤクルト(古田)に大江千里…めがね男子遍歴が生々しく
明るみになってますね、こうやって書いてると。
大江千里…昔はドラマにも出てた。意外と重要な役で男性二番手、三番手
くらいにクレジットされてたりもしてた。メリーゴーランドで事故死、という
日本ドラマ界における伝説のご臨終シーンも懐かしい…

by tohko_h | 2010-03-06 02:57 | watching